新家工業 関西工場

そこかしこに実はある、ARAYA生まれの鋼管

JR神戸線の車窓から、阪神高速池田線から、竹島へ近づくと現れる「ARAYA」の文字。日本で初めて自転車用リム(車輪の外縁、タイヤを取り付ける円環)の製造を始めたことで知られる新家工業、その関西工場だ。建設されたのは1937(昭和12)年。敷地面積、およそ5万4000㎡という同社の主力工場である。この大きな工場のなかでは日々、どんなものがつくられているのか。関西工場長・商品開発本部長の西田晶人さんに案内してもらった。

「現在、ここで製造しているのは鋼管。丸や角のパイプが中心です」と言う西田さんのレクチャーから見学がスタート。工場内に入ってまず目に飛び込んできたのが、渦上に巻かれた巨大な鉄とステンレスの板(帯鋼)。製品の元となる資材だ。これを機械に取り付けると、セロハンテープを引っ張るように、鋼板・ステンレス板が伸びる。
板はフォーミングロール機という機械を通ることで、少しずつ丸みを帯びていく。続いて高周波溶接機を通ると丸いパイプ状に。その後、サイジングロール機で製品の形状にあわせて成形。丸いパイプが四角になったりする。最後に切断機でオーダーの長さにカット。と、言葉にするとシンプルだが、とにかく圧倒的な迫力で機械と鋼板・ステンレス板が動く動く。
「自転車のリムをつくるには、薄い金属の板を少しずつ曲げて成形する技術が必要です。この技術を応用して鋼管製品を手がけるようになったんですよ」。

資材となる帯鋼を機械にセット。セロハンテープをテープカッターに取り付けるイメージだ。

こちらがフォーミングロール機。

たくさんのローラーが付いたフォーミングロール機に板を通すことで成形していく。

こちらが製品。

完成した製品を見ると、そのものずばり丸や角のパイプだ。で、果たして何に使われるのだろう。
「例えば、住宅や物流倉庫の建材。それに手すりだったり、工事の足場だったり。ほかにもコンビニの駐車場の車止めとか、服屋さんの什器とかね」。
そう言われて、あらためて町中を見てみるとあらゆる場所に鋼管がある。とっても身近なところに、メイドイン西淀川があったりするのだ。

リムの断面。こうした特殊な形状を生み出せるのが同社の強み。

「ARAYA」ブランドを一躍広めた自転車のリム。

自転車製品ではリムだけでなく、「ツバメ」ブランドの完成車も製造・販売。イベントを開催するなど、自転車の普及にも尽力している。


新家工業株式会社 関西工場
住所/竹島1-1-59
電話/06-6472-1451
http://www.araya-kk.co.jp/


※この記事はあおぞら財団「りべら」No.145掲載の記事を再編集したものです。


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