地球にやさしい環境を未来を担う子どもたちと
株式会社 近畿サービス 代表取締役社長
坂口由香里さん

文=多田 修(株式会社マルモット)「マルモット新聞89号」より

 創業60年。竹島に本社を構え、オフィスや店のごみ、医療廃棄物、遺品整理、遺品供養、工場から排出される産業廃棄物等々、あらゆる廃棄物の回収を展開する(株)近畿サービス2代目社長の坂口由香里さんは亡き創業者の志を引き継いで、環境の保全を次世代に伝える第一人者です。

 「かつて父が大学卒業後、大手企業の内定を蹴り、これから何をしたいのか思いにふけながら淀川沿いを歩いていると、あまりにも大量のゴミが捨ててあることに気づきました。これでは自分の住む町が汚染されていくではないかと危機感を感じ、家族親戚の反対を押切ってゴミ収集の事業を始めました。それが60年前です。

 私がOLを辞めて帰阪したのは11年前。高齢の父から会社を引き継いでほしいと言われたからです。最初は戸惑いましたが、子どもの頃から父の元で働く従業員さんたちを見ていて、この人たちの仕事をなくしてはいけないと家業に入る決意をしました。いきなり社長の娘がベテラン職人さんの上司になるわけですから当然始めは誰にも認めてはもらえませんでした。

 廃棄物処理法がまだ浸透していない時代。営業に行っても『何で捨てる物にわざわざ金出さなあかんねん』などと散々言われ、『ゴミ屋には用がない』と塩をまかれた事さえありました。

 でも例えば100円ショップのプラスチック製品は極限にまでコストを下げています。そのため粗悪品も多く、安全に処理するには100円以上のコストがかかります。100円で買った物を100円以上かけて捨てないと環境が悪循環になります。

 また発泡スチロールは産廃です。絶対一般ゴミに出してはいけません。

 そんな環境意識の希薄さに警鐘を鳴らし、コツコツ伝えていくうちに周りから認められるようになり、営業部ができて年商が5年で30%上がりました。

 平成25年。法人化して私が社長へ就任しました。父は会長になりましたが間もなく他界。私に引き継いで安心したかのようでした。

 父とは意見のぶつかり合いでよく喧嘩しましたが、亡くなってから存在のありがたさがよく分かります。悩みにぶち当たった時は幽霊でもいいから出てきてよと思うほどです(笑)。

 父は生前、わが住む町をキレイにする事にこだわりました。足元をキレイにする事が地球の環境を守る第一歩だと信じていました。ごみの分別の大切さやリサイクルで資源の循環、環境保全についてなど、未来を担う子どもたちにもっともっと知ってほしいことはいっぱいあります。

 創業者の教えを次世代へ伝えていくのが私の役目かと思います」

 

佃にある積み替え保管工場には、地球とサファリをテーマにした巨大な壁画が。

株式会社 近畿サービス
西淀川区竹島4-8-20
電話06-6475-3325 FAX06-6475-3326
http://kinki-service.co.jp/


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