足湯で、人と人とが笑顔であいさつできる素敵な関係づくり。
入浴サービス株式会社 西淀川事業所 吉見浩一さん

文=多田 修(株式会社マルモット)この記事は「マルモット新聞83号」を再編集したものです。

「最近、足湯を始めたんですよ」。

大和田4丁目に事業所を構える「入浴サービス株式会社」が、今新たなサービスで注目を集めています。同社係長の吉見浩一さんに、お話を聞きました。

― まず入浴サービスとは何ですか?

「寝たきりなどの理由で、自宅のお風呂に入れない方を対象に、ご自宅まで湯船ごと持ち込んで入浴のお手伝いをする訪問介護サービスです」。

― 吉見さんはなぜこの仕事に?

「以前は、まったく異なる訪問販売の営業マンや宅急便の配送をしていました。ですが、どれも僕の居場所じゃない、もっと長く続けられる仕事がしたいと思いました。当時は実家暮らしで同居の祖父母の介護を母がしていたので、僕にとって介護のある環境は日常だったんです。しかも『ありがとう』と人に感謝される。長く続ける仕事はここだと気付き、当時のヘルパー2級を取得してこの会社で働き始めました。もう10年になります」。

― 吉見さんには、この仕事が向いていたのですね。

「はい、この仕事に就いて気付いたのですが、私たちが訪問するご家庭は“老々介護”と呼ばれる二人世帯が多く、他者と関わりを持ちにくい環境にあります。お風呂に入ってもらって利用者様だけではなく、介護をされている方にもスタッフとの会話を通じてメンタル面での介護負担の軽減になればと考えています。そう思うと、お風呂が持つ力って素晴らしくて、もっともっとお風呂の良さを広げたいですね」。

― それで足湯をするようになったのですか?

「いえ、足湯にたどり着いたのは、つい最近なんです。『にしよどリンク(西淀川区社会福祉協議会を事務局に地域企業と福祉のつながりに特化した異業種交流会)』に参加して、地域のお困りごとは何か、自社の強みは何かと討論したのがきっかけ。うちの強みはお湯をご家庭へ運ぶ入浴車があるので、足湯をしたらどうだろうという発想が生まれたんです。

そこで試しに会社の隣のガレージを借りて、スタッフ手作りで足湯を設置してみました。入浴車で常に循環したお湯を送り込むと足湯が完成。無料でご自由にお入りくださいと開放すると、ご近所さんや通りすがりの人はもちろん、ちょうど大和田小学校の通学路で、子供たちも興味津々で集まってきました。足湯のない日でも『今度足湯いつなん?』って聞きに事務所まで入って来るぐらいです。

一つのコミュニティとして手応えを感じ、毎月1回開催することになりました。今後は出張足湯サービスも事業展開していきたいと思っています」。

― 夢が広がっていきますね。

「足湯に浸かり顔と顔が見え、気軽にあいさつが交わせる環境が、こんなにも素敵なことだとは思いもしませんでした。生まれたばかりの自分の子供もあいさつのできる子に育ってほしいと強く願っています」。

そんな心も体も温まる足湯に、みなさんも一度つかりにきてはいかがですか。

こちらが足湯。ほっこり。

「にしよどリンク」で行った入浴のデモンストレーションの様子。

入浴サービス株式会社 西淀川事業所
西淀川区大和田4-6-17
06-6478-2950


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