食品をつくる場に革新的なエコをつくる

食品をつくる場に
革新的なエコをつくる
フードテクノエンジニアリング 株式会社

中小の工場が軒を連ねる佃。その通りの一角にフードテクノエンジニアリングの本社がある。社名から食品関連の会社と察しがつくものの、では具体的には何をしている会社? 答えは冷蔵・冷凍設備の会社。冷蔵・冷凍と言っても家庭用でもなければ業務用にも非ず。食品加工の工場で使われる巨大な冷蔵庫だったり、冷凍食品を製造するためのフリーザーだったり。その設計・製造・施工・運営などが業務だ。お弁当づくりや時短レシピにお役立ちの、あの商品、この商品が実は、こちらの設備によって生まれていたりするというわけ。

そんなフードテクノエンジニアリングが一念発起。2017年1月、本社からほど近い場所に研究施設「FTEアカデミー」を開設した。で、何を研究?

創業は1999年。2003年に佃に本社事務所を移転し、2017年「FTEアカデミー」を開設した。全国各地に営業所を置くほか、徳島に製造工場を構える。従業員はおよそ100名。

「FTEアカデミー」の中に入ると冷蔵・冷凍の装置がドンと鎮座している。

「二酸化炭素を冷媒にした、地球環境に優しい冷蔵・冷凍装置を研究・開発しています」と教えてくれたのは、エンジニアリング事業部の山本銀河さん。かつて冷蔵・冷凍装置の冷媒に広く使われていのはフロン類。これがオゾン層を破壊するため、代替フロンが使用されるようになった。ところがその代替フロン、温室効果がとても高い。そこで二酸化炭素やアンモニアなど、自然冷媒を使った冷蔵・冷凍装置の技術が注目されるようになった。

「すでに自然冷媒の業務用冷蔵・冷凍庫はあります。ところが私たちが手がけているような産業用となると、技術やコスト面で課題がありました。その研究・開発の場がここなんですよ」と言うのは、副室長の佐藤徳重さんだ。

施設にはすでに二酸化炭素を冷媒にした、フリーザーと冷蔵庫が稼働中。この装置は代替えフロンに比べて温室効果が100~1万分の1で、排熱は工場の洗浄などに利用できる、温水がつくれるようになっている。現在はさまざまなデータをとって実用化に邁進中。地球環境に配慮した革新的な冷蔵・冷凍設備が西淀川から生まれようとしているのである。

「この施設は、同業メーカーや大学、地元企業の人たちとの共同研究の場でもあります。西淀川から世界に、新たな技術を発信していけるようがんばります」と佐藤さんは笑顔。なんだか佃で、すごいことが起きているようですよ。

こちらが二酸化炭素冷媒の冷蔵・冷凍システム。上段が給水タンクで、下段が二酸化炭素を圧縮し、冷気を生み出す。

奥には実際の食品工場と同じように衛生関連設備を設け、多彩な研究に利用できるようになった空間がある。その一角に設置されているのは、冷凍食品を製造するためのトンネル型フリーザー。先ほどの写真の冷蔵・冷凍システムの冷気がこちらに使われている。

案内をしてもらった山本さん(左)と佐藤さん(中)。

「FTEアカデミー」2階には、講義や勉強会などが行える多目的ホールも設置されている。

FTEアカデミー
西淀川区佃5-5-30
06-6471-2560

フードテクノエンジニアリング 本社
西淀川区佃4-8-13
06-6474-3910
http://www.foodtechno-eng.co.jp/


※この記事はあおぞら財団「りべら」No.144掲載の記事を再編集したものです。