子どもたちに、もっといっぱいいっぱい笑ってほしい

子どもたちに、もっといっぱいいっぱい笑ってほしい
welfare西淀川
酒井美加さん

文=多田 修(株式会社マルモット)この記事は「マルモット新聞91号」を再編集したものです。

障がいを持つ児童たちと放課後一緒に過ごす居場所放課後等デイサービス。
キャッキャと騒ぐ子どもたちに混じり、ガハハッ! とひときわ豪快に笑いとばす声が室内に響く「児童発達支援放課後等デイサービスウェルフェア西淀川」管理者・酒井美加さんは児童たちはもちろん、スタッフ皆から慕われるオカン的存在。

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 「息子が小学5年生の頃、音楽隊に入隊しました。息子の遠征や合宿のたびに同行し、私自身も音楽隊のお手伝いをするようになると教育委員会の顧問の先生から『あなたは障がいのある子どもたちを支援する仕事が向いていますね』と特別支援学級の介助員にならないかと勧められました。
介助員とは小学校の特別支援学級で授業中、体育や音楽、図工など生徒の横に付いて介助する仕事です。
初めは『何で私が?』と思ったのですが、元々服や花の営業をやっていたのでコミュニケーションは苦にならなかったのと、子どもは大好きなので楽しそうかなと、二つ返事で介助員になりました。

単年契約で7年間、契約ごとに派遣で色んな学校へ行けて楽しかったのですが、そのうち放課後等デイサービス(以後、放デイと略)の普及に興味が湧き、介助員のキャリアを生かし、心機一転尼崎の放デイに就職しました。
しかしそこは老人リハビリ介護と併設された事業所。子どもより老人介護に就くことが多く、辞めようか迷っている頃に友人の紹介で今のここ、ウェルフェア西淀川に転職しました。

この仕事は障がい児童の成長過程が見れてとてもやり甲斐があります。
例えば、問題行動を起こす小3男子がいました。かけっこで負けるなど自分の思い通りにいかなければすぐ衝動的に暴れてしまう子です。
ある日、いつものように暴れ出したので止めに入り、落ち着いてからゆっくり話を聞いてあげるとその子は『助けて…』と自ら助けを求めてきました。
自分の行動が他人に迷惑をかけたり傷つけたりしている事は充分理解できているのです。けどストレスの発散ができず暴れてしまう。
その子には『暴れたくなったら新聞を破ってみよう』と促し続けました。
次第にその子との距離が縮まったある日『先生、オレが腹たったら先生とこ行くから脇をこそばしてくれ』と要求してきました。腹が立っても笑ってストレス発散させることを自分で気付いたのです。彼が暴れそうになるたびに脇をくすぐりました。徐々に暴れる回数が減ってきて、小6の頃にはほぼ問題行動はなくなりました。『オレ、人に負けても腹が立たなくなったよ。先生オレ頑張ってるやろ!』と得意げに話す姿に泣けてきました。

放デイは障がいを持っている子どもたちの生きづらさや相手に伝わらない苦しさに寄り添い自立支援していくのが本来の仕事だと思います。
私は子どもの頃からお母さんに『どんなに辛くても笑って生きなさい』と教えられました。笑っていると相手も笑ってくれます。いいことがいっぱい起こります。子どもたちにいっぱい笑ってほしい。そんな奇跡が起こる放デイにしていきたいです」

児童発達支援放課後等デイサービス
welfare西淀川
住所 西淀川区姫島5-2-2(大阪シティ信用金庫となり)
電話 06-6478-0560
http://welfare-nishiyodo.com