潰し合いで生まれるのはマイナスだけ
仲良くしていけばいいものが生まれる
株式会社 ワカタ製作所
渡邉貴弘さん

文=多田 修(株式会社マルモット)この記事は「マルモット新聞90号」を再編集したものです。

一見こわもてですが、素顔はいつも笑いが絶えない自称西淀川一のテキトー男。株式会社ワカタ製作所二代目社長渡邉貴弘さん。ワカタ製作所は御幣島5丁目にある板金加工とレーザーカットを得意とする会社です。

* * *

 「生まれ育ちは尼崎やけど工場は佃にあったんです。しかし阪神淡路大震災で壊滅し、今の御幣島5丁目に移転しました。

震災も大変でしたが、それよりも昭和のバブル当時、私は小学生で我が家は巨額の借金を抱えていました。当時はまだカラオケBOXはおろか、カセットテープもない時代。『サントラ』といって車のデッキにガチャっとはめ込む4曲入りのカセットの前進があったのを覚えていますか。親父がその『サントラ』を生産販売したらめっちゃ売れたんです。『それを大量生産したら大金持ちやっ!』と手を出した途端、先に大手に特許を取られていて一気に借金まみれですわ。世間がバブルに浮かれている時代に我が家はどん底を味わいました。

親父は借金を返すために金型から設計、プレス加工まで自社一貫生産をしました。当時、金型屋は金型屋であってそれ以外の一貫生産はしてはいけない暗黙のルールがありました。しかし生きるか死ぬかの瀬戸際にキレイごと言ってる場合じゃなかったんです。皮肉にも今では一貫生産するのが当たり前なんですが(笑)。

周囲から散々批判され叩かれました。そこまで非難されるのであればこれなら文句はないやろうと、今度はレーザー加工を始めました。当時西淀川区では誰もやっていないであろうレーザー加工を思い切って金型からシフトしたんです。しかしさらにボロカス言われました。小学生の私もいじめられました。

けど面白いもんですね。今まで仲間だと思っていた人は大勢離れていったけど、残った人は心から応援してくれました。誰が敵で誰が味方か顕著に現れました。

ポジティブに考えれば運も味方になりますね。やがて借金も全部返し、私が二代目社長に就任。父は会長で今でも元気です。

 

今はSNSなどで簡単に誹謗中傷され、世間の批判にビビって思い切ったことができない若者はかわいそうやと思います。そんな彼らにめげるな! 自分が正しいと思ったら前進あるのみや! と教えてやりたいです。

私はいじめにあったけど、その分相手をどつき返しました。毎日毎日ケンカに明け暮れ、気付けば100人以上どついていました。100人どつくと色んなものが見えてきました。『仲良くしたら何もどつく必要ないんちゃうか?』

どんな社会でも仲良くしていかないといいものはつくれない。潰し合いはマイナスしか残らない。そんな当たり前のことに気付けたからこそ今の仕事に活かされてるし、いつも笑っていられるんです」

* * *

自称テキトー男と言いながら、ひと言ひと言が熱く突き刺さる渡邉さんが実行委員長を務める夏の大イベント「西淀川ものづくりまつり2018」ぜひ遊びにきてください。


西淀川ものづくりまつり2018
開催日 2018年8月19日(日)
場 所 西淀川区役所、もと歌島橋バスターミナル
http://www.city.osaka.lg.jp/nishiyodogawa/page/0000440116.html

株式会社 ワカタ製作所
住 所 西淀川区御幣島5-11-27
電 話 06-6472-7199
http://www.wakata.co.jp/


スポンサーリンク