連日やけくそセールな居酒屋の母娘三代、オモニのオモニの味
日韓家庭料理居酒屋ツインズ
壁にでかでかと張り紙がしてある。「ツインズで損しない3ヶ条」。ひとつめが19時までに来店すること。19時までハッピーアワーで生中が350円、レモンサワーとハイボールは250円である。ちなみにそれぞれプレモル香るエール、こだわり酒場、ジムビームだ。
続いてが、インスタフォローかLINE友だち登録をすること。月ごとに焼酎が安くなるとかチャミスル1本飲んだらもう1本プレゼントとか、特典がある。最後は2日・12日・22日に来ること。この日はラストまでハッピーアワー。遅くなっても安く飲めるというわけ。
ちょっと離れてまた張り紙があって、そこには生ビール大ジョッキ、ドデカレモンサワー、ハイボール各550円とある。これは7月限定のセールらしい。つまり、安くたくさん飲める。
「お店、暇やからやけくそなんですよ、アハハ」と笑うのは、店主の雅子さん。とか言うもののツインズファン多し。決してアクセスのいい立地ではないのに、ちょこちょこちょこちょこ客人が訪れる。その理由はお酒が安いから、というより、しっかり食べられるからだ。メインは韓国の家庭料理。在日三世の雅子さんは「オモニの料理が大好きで、ほんとおいしいんです。それでお店を開こうと思ったんです」。
というわけで、料理の担当はオモニの京子さん。雅子さんと、雅子さんの姪(で京子さんの孫)の絢子さんはお手伝い。でもって絢子さんには双子のお兄ちゃんがいるので店名が「ツインズ」。女性三世代が切り盛りするアットホームな飲み処、食べ処なのだ。
メニューを開くとチヂミ、ポッサム、キンパなどなど、多彩な料理が並ぶ。その味は、「私のオモニの味でしょうね」と京子さんは言う。オモニのオモニは韓国・慶南の出身。家族で西淀川に居を構えるようになり、京子さんが生まれた。
「家が建設業をやっていて、小さい頃からオモニと一緒に飯炊きをしてたんです」と京子さんが振り返る。
でもって、このお店はというと、雅子さんの姉夫婦が長らく喫茶店をしていた。コロナ禍の影響でいったんお店を閉じたところ、沖縄で日本語教師をしていた雅子さんが「居酒屋をする」と手を挙げた。雅子さんもコロナ禍の影響で実家に戻ってきていたのだ。そうして居酒屋として再出発したのが2年ほど前。
今も店内は喫茶店時代のまま。グループはもちろん、一人で来てもテーブルでゆっくり過ごすことができる。コーヒーカップが描かれた軒先のオーニングテントもそのまま。町工場と住宅のなかにたたずむ、ひと休みの場所の風情。その感覚のまま、のれんをくぐれば、オモニのオモニから紡がれてきた味と、家族のあったかい空気を堪能することができる。
日韓家庭料理居酒屋ツインズ
住所 西淀川区千舟3-8-9
電話 06-6472-6777
営業 18:00~23:30(入店は21:00まで)
休み 日・月曜、祝日
Instagram @twins__chibune
https://twins-chibune.owst.jp